感染対策
Infection Control
塩素濃度1,000ppmの除菌洗剤 ルビスタ
ルビスタの特長
① 1ステップで除菌と洗浄が可能 |
② EPA*に登録され、医療施設等の環境衛生に使用されている製品 |
*EPA:米国環境保護庁 |
④ ベッド周り・トイレなどの環境表面から器具・器材まで幅広く除菌 |
⑤ 調整液は塩素臭が少なく、様々な場所で使用しやすい |
⑥ 金属・プラスチックに影響が少ない |
⑦ 調整液の有効期間の目安が色で判別でき、管理しやすい |
ルビスタの作用メカニズム
① 水溶液中で、主成分であるペルオキソ一硫酸水素カリウム(酸化剤)が、ルビスタの配合成分のひとつである塩化ナトリウムを酸化することで、強力な除菌活性を持つ「次亜塩素酸」を生成する。
② 次亜塩素酸とペルオキソ一硫酸水素カリウムの酸化作用により、細菌やウイルスの構成タンパク質を酸化分解することで除菌作用を示します。
③ 次亜塩素酸が有機物と反応した後に生じる塩化物イオンは、塩化ナトリウムとなり、新たな次亜塩素酸の供給源となります。
④ 上記の反応を繰り返します。
ルビスタの有効塩素濃度と有効期間
① ルビスタは酸化作用により除菌作用を示しますが、その除菌活性の基準となる酸化力は、
有効塩素濃度として表示されます。
② ルビスタの1%調整液の有効塩素濃度は約0.1%相当(約1,000ppm)です。
【試験概要】
ルビスタを約26℃の水道水で1%に調整後、20-22℃で保管した。調整直後、1日後、2日後、3日後、4日後、7日後の有効塩素濃度を測定した。1%ルビスタ調整液は、調整7日後において調整直後の92.5%の活性(有効塩素濃度0.095%)を保持していた。[DuPont社資料]
ルビスタの環境表面素材への影響
ルビスタは、下表のように、様々な金属やプラスチックなどの環境表面素材に対して影響しにくい製剤です。
ただし、大理石や銅、亜鉛などの軟鋼や、真鍮(しんちゅう)、軟鉄、亜鉛メッキ鉄(トタン)などは、ルビスタの酸化作用により劣化する恐れがありますので、使用しないでください。
テスト素材 | 評価 | |
金属 | ステンレス | 影響なし |
アルミニウム | 光沢消失 | |
銅 | 変色 | |
非金属 | ポリプロピレン(PP) | 影響なし |
ポリエチレン(PE) | 影響なし |
テスト素材 | 評価 | |
非金属 | ポリカーボネート(PC) | 影響なし |
アクリル | 影響なし | |
ポリスチレン(PS) | 影響なし | |
ラテックス( | 影響なし | |
シリコン | 影響なし |
【試験方法1】
21℃のルビスタ2%調整液に168時間浸漬させ、その後、すすぎなしで24時間乾燥させ、素材重量を測定し外観評価を行った。
[杏林製薬社内資料]
テスト素材 | 評価 | |
金属 | 真鍮(しんちゅう) | 影響あり |
軟鉄 | 錆を生じた | |
亜鉛メッキ(トタン) | 影響あり | |
ニッケル銅合金 | 影響なし | |
非金属 | アセテート樹脂 | 影響なし |
ナイロン | 影響なし |
テスト素材 | 評価 | |
非金属 | ポリウレタン | 影響なし |
塩化ビニル(PVC) | 影響なし | |
ポリエチルフルオロエチレン樹脂(PTFE:テフロン) | 影響なし | |
エチレン酢酸ビニル共重合樹脂(EVA) | 影響なし | |
エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM) | 影響なし | |
アクリロニトリルブダジエンスチレン共重合合成樹脂(ABS) | 影響なし |
【試験方法2】
21℃のルビスタ2%調整液に48時間浸漬させ、その後、すすぎなしで24時間乾燥させ、素材重量を測定し外観評価を行った。
[DuPont社資料]
ルビスタの安全性について
■急性毒性……… | ◎経口急性毒性:ラットに単回経口投与した時のLD50値は4,123mg/kgであった。 (体重60kgの成人に換算した場合、247,380mg/bodyに相当する) |
◎経皮:ラットに単回経皮投与した時のLD50値は>2,200mg/kgであった。 (体重60kgの成人に換算した場合、>132,000mg/bodyに相当する) |
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◎吸入(エアロゾル):ラットに4時間連続吸入させた時のLC50値は3.7mg/Lであった。 (成人が常用濃度である10mg/mLをエアロゾル化し24時間連続吸入しても影響はほとんどないと予測される) |
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■皮膚刺激性……… | ◎2,000mg/ml(常用濃度:10mg/mLの200倍)に懸濁したルビスタ調整液をウサギに4時間連続塗布した時に中等度の皮膚刺激性が認められた(常用濃度では刺激性はほとんどないと予測される) |
■眼刺激性……… | ◎10mg/mL(常用濃度)のルビスタ調整液をウサギに点眼し72時間観察した時、刺激性は認められなかった。 |
■皮膚感作性…… | ◎10、50、100mg/mLのルビスタ調整液をモルモットに感作し、再塗布時のアレルギー反応の有無を観察した時、全ての濃度で感作性は認められなかった。 |
■変異原性……… | ◎動物および哺乳類の培養細胞を用いた試験において変異原生は認められなかった。 |
■発がん性・生殖毒性… | ◎動物を用いた試験において発がん性および生殖毒性は認められなかった。 |
■環境への影響…… | ◎GHS:化学品の分類および表示に関する世界調和システムでは化学物質の水性環境への影響度を区分している。 |
◎ミジンコに対する影響:EC50=6.5mg/L OECD※分類カテゴリー区分2 (1mg/L<48h EC50≤10mg/L) |
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◎魚に対する影響:LC50=24.6ppm OECD分類カテゴリー区分3 (10mg/L<96h LC50≤100mg/L) |
※OECD:Organization for Economic Co-operation and Development(経済協力開発機構)
[DuPont社資料]
微生物の消毒剤抵抗性および消毒剤の抗微生物スペクトル
下の図では、次亜塩素酸ナトリウムの除菌効果範囲を表しています。
ルビスタの成分であるペルオキソ一硫酸水素カリウムは、次亜塩素酸ナトリウムの類似化合物なので同等の除菌効果範囲を持っています。
ルビスタの関する学術情報・研究機関からの報告
10,000,000cfu※のClostridium difficile芽胞を、水、70%エタノール、ルビスタ1%調整液で20分間処理させたところ、水および70%タノールで処理した芽胞には影響が見られなかったが、ルビスタ1%調整液で処理した芽胞は検出限界(50cfu)以下に減少した(減少率>99.999%)。
※cfu:colony forming unit(コロニー形成単位)
[Lawley et al. J.Bacteriol. 2009, 191:p5377]
オーストラリアの大学付属病院の集中治療室(ICU)で発生したアウトブレイクにおいて、カルバペネム耐性Acinetobacter baumannii感染が観察された。2006年8月より院内の環境整備用消毒剤を全てルビスタ(1%調整液を使用)に変更したことによりアウトブレイクの終息が認められた。
[Doidge et al. infect Control Hosp Epidemiol. 2010, 31:p418]